骨粗鬆症とは

骨粗鬆症

何らかの原因によって骨が脆くなってしまい、それによって骨折しやすい状態になっているのが骨粗鬆症です。高齢女性の患者数が多いことでも知られています。

骨の脆弱化に自覚症状はないので発症していることはわかりにくく、主に転倒によって手を付くなどして骨折したことで気づくというケースが大半です。発症によって折れやすい部位としては、手首、脊椎、肋骨、太ももの付け根(大腿骨近位部)、骨盤、脛骨、腕の付け根(上腕骨近位端)などが挙げられます。なお大腿骨近位部を骨折すると寝たきりになるリスクが高いです。

原発性と続発性

発症の原因は、原発性と続発性の2つに分けられます。前者は、原因とされる疾患などを特定することができない骨粗鬆症です。女性は閉経を迎えるとエストロゲン(女性ホルモンの一種)が著しく減少します。このエストロゲンは、骨が新陳代謝していくにあたって、骨吸収、いわゆる骨を壊す細胞(破骨細胞)のスピードを抑える働きがあり、骨をつくる働きをする細胞(骨芽細胞)とのバランスを調整する役割もあります。このホルモンが分泌されなくなれば、骨吸収のスピードは早まり、骨は脆弱化していきます。これを閉経後骨粗鬆症と言います。

また高齢になると男女に関係なく、腸管でのカルシウムの吸収率が低下するなどして、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて骨折しやすい状態になります(老人性骨粗鬆症)。このほか若い世代でも過激なダイエットをすることで骨粗鬆症を発症することもあります。

後者(続発性骨粗鬆症)に関しては、特定の原因があって発症する骨粗鬆症になります。例えば、副甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、糖尿病など、何らかの疾患に伴って発症するケースがあります。またステロイド薬の長期投与が原因となることもあります。

検査について

問診などから骨粗鬆症が疑われると骨密度検査を行います。これは骨の強度を調べる検査のことで、骨の中にどれだけのミネラルが含まれているかを測定していきます。その方法としては、DXA、MD、超音波とあるわけですが、当院ではDXAによる検査になります。DXAでは2つの異なるX線を主に腰椎と大腿骨近位部に照射し、骨密度を調べていきます。その結果、脆弱性骨折がない場合でYAM値(若年成人(20~44歳)の平均的な骨密度の値を100%とした場合の数値)の70%以下(脆弱性骨折がある場合は80%以下)と判定されると骨粗鬆症と診断されます。

上記以外にも骨折(背骨の圧迫骨折 等)の有無を調べるためのX線撮影、別の病気の可能性を鑑別するための血液検査などを行うこともあります。

治療について

骨の生活習慣病とも呼ばれる疾患なので、日頃の生活習慣を見直していきます。食事面では、骨形成に役立つとされる、カルシウム(牛乳、乳製品、小魚、小松菜、大豆製品 等)、ビタミンD(サケ、サンマ、シイタケ、卵 等)、ビタミンK(納豆、ほうれん草、ニラ、ブロッコリー 等)などが多く含まれる食品を摂取していきます。また運動によって骨に負荷をかけることは丈夫にすることにつながるので日常生活に取り入れます。内容としては、ジョギングやウォーキングなどが有効ですが、転倒予防のために体幹を鍛える、筋力トレーニングをすることも大切です。

さらに骨粗鬆症と診断された患者さんは、上記に併行して薬物療法も行っていきます。治療薬の種類としては、骨吸収を抑制する効果のある薬(ビスホスホネート、SERM 等)、骨形成を促進させる注射薬(PTH製剤 等)のほか、ビタミンD製剤、カルシウム製剤などが用いられることもあります。